気ままな詩人

48グループの創作小説を書いています。じゅりれな、さやみるきーメインになります。卒業メンバーばかりですので現メンバー推しの方は物足りないと思います。ご了承ください。

部屋の電灯に照らされながら

私らはベッドで抱き合っていた

美優紀は恥ずかしいのか私の胸におさまったままだ

「いつまで、そうしてるんや?」

「だって恥ずかしいんやもん…なんか全部見られたみたいで…」

「まぁ…見たなぁ…。しっかりと」

「もー」

美優紀はムッとして私の顔を見る

「やっと顔見せたな」

そんな膨れっ面も愛おしくて笑ってしまった

「もーまたそうやったて面白がってる」

「ごめんごめん。そんなつもりやないねん」

私は美優紀をなだめるために額にキスをする

「ん…」

不意打ちを喰らった美優紀はとたんにおとなしくなった

「めっちゃ…可愛かった」

私は愛おしさが溢れて抱きしめる

先ほどの余韻に再度浸る

絶頂を迎えた美優紀の顔がエロくて…綺麗で…

もっと見たくなってしまった…

でも流石に体力的に無理はさせれんし…

「んぐっ」

私は突如頬の痛みで顔を歪ませる

「顔ニヤけすぎ」

美優紀は私の頬をつねりながら恥ずかしそうに口を尖らせていた

どうやらそんなことを思ってたら顔がニヤけていたらしい

まぁそんなところも可愛いのだが…

私は美優紀をぎゅっと抱きしめる

「んっ…」

反撃が来ると思っていた美優紀は驚き、私の頬から手を離した

「好きやで…今めっちゃ幸せや」

「彩ちゃん…」

美優紀の肌の温もりも

今まで見たことない表情も

こうやってじゃれあうことも…

本当に…

「美優紀が、ここにいてくれてよかった」

「うん…」

私らは見つめ合い、そっとキスをした

ーーー

チュン…チュン…

「ん…」

私はうっすらと目を開ける

朝か…

私はむくっと体を起こす

横に目をやると美優紀の姿はなかった

ありゃ?もう起きてんのか…

私はもそもそとベッドからおり、脱ぎ捨てていた服を着る

昨日はあの後じゃれあったりしながら話ししてて知らん間に寝てしもた…

人肌って温いねんなぁ…なんか満足感あるわ…

階段を降り、リビングに入ろうとしたところで

仏間の襖が開いていた

覗くと手を合わせている美優紀が居た

「あ、彩ちゃん。おはよう」

私の気配に気づき、美優紀がこちらを見て微笑む

「あぁ、おはよう」

私も仏間に入り、美優紀の横に座る

仏壇にはご飯とお水が供えられていた

「すまんな。朝早くから」

「ううん。ご飯もしてたし。それに、私はこの家に置いてもらってる身やからそれぐらいせな」

美優紀はニコッと笑う

「そんな美優紀のこと居候扱いしてないで」

「え?」

「いや…その…私の恋人やし…もう家族みたいなもんやろ」

私は恥ずかしくなって最後らへんはもごもごと口ごもる

「ありがとう」

美優紀はクスッと笑い

「おじいちゃん、おばあちゃん、彩ちゃんのお父さんお母さん、改めまして渡辺美優紀です。不束者ですがよろしくお願いします」

仏壇に向かってぺこっと頭を下げた

なんか昨日ああいうことをしたあとに改まってそう言われるとなんか恥ずかしさと心苦しさが襲ってくる…

美優紀は私の方を見てニコッと笑う

そうやな…そういうやつやねん…私が好きになったヤツは…

私もフッと笑い

「ちゃんと挨拶してくれて…ありがとう。…私のも言うわ」

仏壇を見つめ、フッと息を吐く

「父さん、母さん…私な2人が急におらんようになって…寂しかった。ずっと1人なんやって…俯いて過ごしてた。そんな時美優紀に出会ったんや。美優紀と出会って寂しくなくなってずっと一緒に過ごしてた。じいちゃんが亡くなって…ばあちゃんも亡くなって…あぁもうホンマに1人になってしまうって…そう思ったら美優紀とまた出会えて…私は1人にならずに今までおれたんや。私らは世間的には結婚できんけど…これからも美優紀と一緒にいたいって言う気持ちは変わらん。だからこの家で家族として一緒に暮らすこと…受け入れてくれるよな?」

フワッと換気で開けていた窓から柔らかな風が吹きレースのカーテンがなびいた

『はい、いらっしゃい』

ばぁちゃんの声が聞こえた気がした

そして、優しく微笑む顔が思い出される

「ありがとう…」

私はそう言うと涙が込み上げてきた

「…っ…よろしく…お願いします」

横では涙目の美優紀が声を詰まらせながら頭を下げていた

あぁ…きっと、美優紀にも聞こえたんだろうな

父さん、母さん…

じいちゃん、ばあちゃん…

私、今幸せやで




ーーーFINーーー

※性的描写を含みます。ご理解のある方のみお進みください。



ギシッ…

部屋のベッドに美優紀を寝かせ

私はその上に馬乗りになる

そっと美優紀のパジャマのボタンに手をかける

「さやか…ちゃん…その…」

美優紀が私の手を止め、電気を指差す

やはり明るいのは抵抗があるのだろう…

でも…一回ちゃんと体を見てみたいわけで…

「あー…さっき試してみたら豆電切れててん」

とりあえず下手な嘘を誤魔化すようにボタンを外すのを再開する

「え…ちょ…」

美優紀は慌てて止めようとするが

「ん…」

私が唇を塞ぐことでおとなしくなった

「はぁっ…」

唇を離し、とろんとしている美優紀をみながら

パジャマのボタンに手をかける

「…っ」

美優紀の手が私の手を止める

「え…?」

これは拒否なんか?明るいんが悪いんか?

手を止めたままぐるぐると思考が回る

「そ…その…病気の時痩せたやん…だから今もその…体に自信なくて」

美優紀は顔を赤らめながらもごもごと言う

「ははっ…そんなことか」

だから明るいこと気にしてたんやな

拒否されてないことで安堵し、思わず笑ってしまった

「何よ。こっちは悩んでんの」

美優紀はムッとして私の頬をつねる

「ご、ごへん…ごふぇん」

私は美優紀の手をほどき苦笑いをしたあと、ぐっと顔を近づける

「そんな心配せんでええ。今の美優紀をそのままみたいんや」

「彩ちゃん…」

美優紀の頬がさらに紅潮していく

その表情が愛おしくて、そのまま口づけをする

「ん…」

甘い声を漏らす美優紀の隙をつき

今度は手際よくボタンを外していく

そして…外し終わって無防備になった隙間から

胸に触れる

「あ…」

直に触られたことで美優紀がピクンと跳ねた

私は唇を離すと美優紀の体を隠しているパジャマを脱がし

あらわになった美優紀の体をまじまじと見つめた

さすがに美優紀は恥ずかしく胸元を隠す

ただ…私が見つめていたのはそこではなかった

鎖骨の下の点滴を入れた痕…

抗がん剤は漏れてしまうと皮膚が壊死してしまうことから長期間入れている美優紀のような白血病の人は中心静脈といって体の中の太い血管に管を入れ、そこから投与するのだ

入院の度に刺されていたのだろう…

もうしっかりと痕が残ってしまっていた…

「彩…ちゃん?」

動かない私に美優紀が困惑した顔を向ける

…っ!もしかして!?

私は思わず美優紀の腕を掴み

「え?」

肘を伸ばさせて腕の内側をまじまじと見た

そこにも…いくつもの点々とした痕が残っていた

長年の採血や点滴によってできた痕…

美優紀は夏でもカーディガンとかを羽織っていたからこんなにもまじまじ見ることはなかった…

「彩…ちゃん?」

不思議そうに私を見つめる美優紀をみて

なんでかしらんけど…ぐっと涙が込み上げてきた

泣き顔を見られたくなくて

私は美優紀に覆い被さり顔を隠す

「どないしたん?」

「別に…」

突っ伏したままくぐもった声で言う

「…私の体、そんなに残念やった?」

美優紀は泣いているのを察したのか、そっと私の背中に腕を回し冗談っぽくいう

「…何いうてんねん…」

こんな細い体で

ずっとここまで耐えてきて… 

私は顔を上げ

美優紀を見つめる

「最高やんか…病気に立ち向かった…いかつい体や」

「いかついはうれしくないけどなぁ」

美優紀はクスッと笑う

「美優紀の身体…ちゃんと見れてよかった」

「え…?」

私は勢いよく上の服を脱ぐ

美優紀ばかり裸なのはフェアじゃないと思ったからだ

「おっきぃ…」

美優紀は下から私の胸を触る

「そんなに感心することか?」

「するよ…やっぱり羨ましいもん」

「そうかぁ?私は大きさはそんなに関係ないと思うけどなぁ」

私は美優紀の顔の横に手をつき見つめる

「美優紀を抱けるってことだけで幸せやで」

「彩ちゃん…」

私はフッと笑うと鎖骨の下の痕にキスをする

「ん…」

もどかしそうに美優紀が体をよじる

この傷痕も…胸も…背中も…

美優紀の身体全部を愛したい

今まで我慢していた気持ちがごちゃ混ぜになって

胸がジンジンした

「彩…ちゃん?」

異変を感じたのか美優紀が心配そうに私の顔を見る

「え?あ…すまん…痛かったか?」

私は慌てて上体を起こす

「ううん…そうやなくて…」

美優紀が不安そうな顔をする

ちゃうちゃう、何不安にさせとんねん…

こんなに…幸せで

気持ちが昂ってしもたって言わな…

そう思っているのに…言おうとしたら涙が込み上げてきて

私は咄嗟に美優紀に抱きついて顔を隠す

「どないしたん?」

美優紀は私の頭を優しく撫でる

リードせなあかん状況やのに…美優紀にこうされていると落ち着く…

「ずっと…触れたかった」 

気づけば私の声は震え、視界が滲む

「彩ちゃん…」

「だから…今、幸せやって思ったんや…」

「うん…私も」

美優紀は私の頬にそっと触れ、目から涙が流れた

言いたい、言えない

触れたい、触れられない…

そんなもどかしい日々から

ようやく解放された

「いっぱい…愛して…」

「美優紀…」

「ん…」

私は優しくキスをし、徐々に舌を滑り込ませる

「ん…」

荒い息づかいと絡み合う舌の感覚に脳がじんわりと溶けていく感覚がする

キスをしながら片方の胸を揉み

乳首をつまんで刺激する

「あっ…ん…」

時折いい位置に触れると反応する美優紀が愛おしくてたまらない

ずるずると体をずらし、反対の胸に吸いつく

「んんっ…」

口をふさがれてないと美優紀の甘い声が大きく聞こえて興奮が増す

美優紀は咄嗟に手で声を抑えようとする

私はその手をすかさず止める

「あかんで…」

「だって…恥ずかしい…」

「それがええんやんか」

「変態…」

「だれがやねん。みんなそう思うわ」

私はムッとして乳首をキュッ軽くつねる

「あんっ!」

美優紀の体が跳ね、大きな声が出る

それに1番驚いたのは美優紀自身で顔を真っ赤にして顔を逸らしていた

「…かわいいやん」

私はクスッと笑う

「もう…しらん」

美優紀は顔を逸らしたままむすっとしていた

「拗ねんなや」

そんな表情も愛おしくて、笑ってしまった

「…」

美優紀はじろっ私を睨む

「そんな顔するなよ。かわいいなって思ってんねんで」

私はパジャマ越しに美優紀の恥部をなぞる

「ん…」

ピクンと体が跳ね、さっきの表情が一瞬で緩む

「美優紀の色んな顔がみたいねん…今まで見れなかった顔を…」

布越しに美優紀の恥部を刺激しながら見つめる

「んんっ…いじわるっ…」

その顔はとろんとしていて、その先を望んでいるように見えた

「そうやな…美優紀のことに関しては…」

そう言ってパジャマに手をかけズボンを下ろす

あらわになった胸と下着の構図がなんともエロい…

「もー…またジロジロ見て…」

膝下で下ろすのを止めて見とれていた私に痺れをきらして

美優紀は膝を曲げズボンを完全に脱ぐ

「あぁ…すまん…その…綺麗やなって思って…」

美優紀はむくっと起き上がり

私にキスをした

「彩ちゃんも…脱いで…」

「あ、あぁ…」

私らは膝立ちになる

美優紀は私のズボンに手をかけて下ろす

「もっとかわいいの履けばええのに」

私のボクサーパンツに美優紀が口を尖らせる

「何期待しとんねん」

まぁ…美優紀の下着はそりゃエロいけど…

そう思い視線が下にいく

「じゃあ下ろすな」

美優紀が続いてパンツに手をかける

「そ、それは自分でやるわ」

なんか異様に照れくさくて美優紀の手を止める

「えー。ほな、お互い脱ぐ?」

「いや、美優紀のは私が脱がす」

「なにそれ?自分は脱がしたいん?」

クスッと美優紀が笑う

「そりゃ…さーっと脱がれても…なぁ」

私は言いながら自分が変態なんじゃないかと思って悲しくなってきた

「私やって脱がしたいんやけど」

美優紀がムッとしながら顔を近づける

その勢いに負けて体勢を崩し、後ろに倒れ込む

ここぞとばかりに美優紀が覆い被さり

胸の上でニッと笑った

「今度は私の番な」

かぷっと乳房に吸い付き舌でコロコロと刺激される

ムズムズする刺激と同時に、必死に吸いつく美優紀を見て興奮してしまう

「ん…どう?」

うまくできているか不安そうに美優紀が私を見る

あかん…めっちゃエロい…

私の中で何かが切れた

「うん…そやなぁ…美優紀ちょっと腰浮かしてくれるか」

「え?うん」

体勢を整えて、美優紀の恥部に手が届く距離になる

「じゃあ…さっきみたいにもう一回やってくれるか?」

「うん…」

美優紀はまたかぷっと乳房をくわえる

私はそっと美優紀の恥部を指で撫でる

「あんっ」

美優紀が驚いて声を上げる

「続けて…な?」

ニヤニヤとする私を美優紀はムッとしながら素直に続けてくれた

私も指で撫でながら、湿り気を帯びている下着をこする

「んっ…」

ピクンと反応しながらも、美優紀も私を気持ちよくさせようとあれこれ刺激をしてくる

その行為より美優紀が頑張ってやってる姿にドキドキした

「めっちゃ濡れてる…」

そう言って、突起物があるであろう場所を集中的に擦る

「んっ…あぁっ…」

美優紀はその刺激に反応して手を止め身をよじる

「脱がすで」

「うん…」

体勢をくるっとかえ、美優紀を下にして

下着をおろした

「ん…」

美優紀は恥部を隠し、もじもじとしている

私はお構いなしに股を開けさせ

恥部を見る

もう十分過ぎるほどに濡れているそこに唇を寄せ舐める

「はっ…んっ…」

いきなりの刺激にびっくりしたのか太ももがしまり頭が挟まれる

「ちょ…力抜けって」

私は美優紀の顔を見る

「だって…急にするから…びっくりしたんやもん」

「じゃあ今からは覚悟して耐えーや」

私はまた恥部を舐める

突起物はもう立派に膨らんでいた

舌で十分に舐め回す

「あっ…んんっ…」

ピクン、ピクンと美優紀の体が跳る

その様子を見ながら、よきところで口に含んで軽く吸いつく

「え?んんっ!あっ…んんっ…」

美優紀の声が大きくなり、体が刺激から逃げようとする

「そろそろええかな…」

私は上体を起こし、潤んだ瞳の美優紀を見つめながらゆっくりと指を入れた

「ん…」

「痛くないか?」

「うん…」

「動かすで」

ゆっくり反応を見ながら刺激していく

「ん…」

ちょっと慣れてきたかな?

美優紀の反応を見て、指をくっと曲げ勢いをすこしつけて動かす

「えっ?…ちょっ…何それ…さっきと全然…違う…んっ…あっ」

「ここ…好きなんやな」

美優紀のウィークポイントを知って私はニヤッと笑った

「あっ…んんっ…だめぇっ…」

美優紀の顔が色っぽくなっていく

「ここ好きか?ちゃんと言って」

私は刺激を強めて言う

「んんっ…はぁっ…す…すきぃ…」

「ええ子や」

「んっ…」

刺激はそのままに美優紀を軽く起こしてキスをする

「はぁっ…んんっ…」

絡みつく舌から漏れる声が私の脳内をジンジンと刺激する

「はぁっ…彩ちゃん…おかしなるよぉ」

もう少しでいきそうやな…

「おかしなってええ…美優紀のエロい顔もっと見たい」

「彩ちゃんやって…いつもと顔違う…」

「嫌か?」

「ううん…ドキドキする…」

「好きやで…」

「私も…好き」

達するために、私は指の速度を早める

「んんっ…あかんて…」

美優紀がたまらずわたしに抱きついてくる

「気持ちいいか?」

「んっ…うん…」

「ちゃんと言って」

「…あっ…んっ…気持ち…いい」

「ここ突かれるの好きか?」

「うんっ…めっちゃ気持ちいい…あっ…えっ?なんかさっきより気持ちよくなってきた…」

「イキそうか?」

「え?あ…くるっ…あっあっあっ…」

美優紀の腕に力が入る

私も負けじとスピードを上げる

「んんっ!」

ビクンと大きく体跳ね、私も指を止めた

小刻みに美優紀の体が震える

「イッたな…」

「うん…」

私は美優紀とともにベッドに倒れ込む

想像以上に腕の力を使うのだと思いながらも、それ以上に幸福感に包まれていた

「んー…やばい…」

私は顎に手を当てて部屋の床を見つめる

整理してた…はずなんやけどなぁ…

色々出していたらなんか散らかってしまった

これは美優紀に怒られるよなぁ…

とりあえず、ひっぱり出すのはここまでにしてしまえるものはしまってしまおう…

私はゴソゴソと棚にしまえる物はしまっていく

ミスった…まず元あった物を整理してから出さないかんよな…でもすぐ使うものとかは出さんわけにはいかんし…

自分の不器用さを痛感しながらため息をつく

「彩ちゃーん」

美優紀が階段を登ってくる

「ちょ、ちょっと待っ…」

慌てた勢いで床に置いてあったクリアファイルで滑る

「なっ!?」

慌てて体を踏ん張るが…あかんかった

バランスを崩しよろけ…

積んでいたダンボールに横からぶち当たる

バサバサっ!

「ったー…」

ダンボールにぶつけた体が痛む…

よろよろと起き上がると部屋がさらに悲惨な状態になってしまった…

「彩ちゃん!?なに!?」

美優紀が勢いよくドアを開ける

「あー…滑ってしもて」

私は苦笑いをする

「え?いけるん!?」

美優紀が私に詰め寄り体を触る

シャンプーの香りがぐらっと思考を揺らす

「痛いとこない?」

「え?あ、あぁ…大丈夫や」

滑った時の足とぶつかった肩はいたんだが大事には至らないだろうし

なんかこんなに真面目に心配してくれてるのに、よからぬことを考えていた自分が後ろめたくて苦笑いをする

「ホンマにいけるん?だってめっちゃ荷物ひっくり返ってるし…大きい音したから…」

「いけるわ。片付けしてたら床に置いてたクリアファイル踏んでもてそこのダンボールにぶつかってしもてな。中身が落ちておっきい音がしたんや」

「そっか…ん?ダンボール周りに物散らばっとるんはわかるけど、それ以外のところも散らかってるのはなんで?」

美優紀はほっとした表情から一変し、じろっと私をみる

「あー…まぁ…それはー…。だ、大丈夫や、ちゃんとなおすから」

「もー…何が荷物の整理よ…。素直に一緒にお風呂入っとけば、こけることもなかったのに」

「なんやそれ、私が一緒に入りたかったみたいやないか」

「ちがうん?彩ちゃんは毎回そうやって素直にならんと違うことして変なことになるんやから」

ムッとしたが、美優紀のすごみに負けて目を逸らし、そのままの流れで散乱した荷物を見た

大事なファイルとかは無事やろうけど…片付け時間かかるなぁ…

「もー…私が整理しとくから先お風呂入ってきて」

「え…でも」

「彩ちゃんだけやったらめっちゃ時間かかるやん。ほらとにかく行って」

美優紀はぐいぐいと私を部屋から追いやる

きっと美優紀が怒ってるのに違うこと考えてたのバレたな…

「わ、わかった。速攻で入ってくるから」

これ以上怒らせてはならないと私はドタドタと階段を降りて行った

ーーー

「さて…やろか」

美優紀は部屋に散乱した荷物を手に取り、仕事用プライベート用にわけダンボールに一時的にしまい直す

彩ちゃん整理整頓苦手やもんなぁ…大人になってもそれはかわらんか…

美優紀はため息をつく

よく引っ越しができたものだと逆に感心していた

一方美優紀は度重なる入院で断捨離がうまくなっており、整理整頓のレベルが上がっていたのだ

テキパキと整理して行き…

ベット脇に落ちていたファイルを手に取る

結構重いな…仕事用かな?

そんなことを思いながら手に取り、確認のために中を見る

「あ…」

美優紀は固まってしまった

そこには、白血病のことや骨髄移植の資料が何枚も綴られていた

そして彩の手書きのメモも挟まれている

『風邪に注意!ちょっとしたことでも重症化する!』

『美優紀が熱が出ないように自分の体調管理もすること!』

『熱が出た時の対応は…』

『救急にかかった方がいい症状…』

そんないくつものメモがファイルには溢れていた

「…っ」

美優紀の視界が歪み、ポロポロと涙がこぼれる

彩ちゃん…こんなに勉強してくれてたんや…

彩の不器用な愛が美優紀を温かい気持ちにさせた

ーーー

ブォォォ…

はぁ…なんやねんホンマに…

私は高速で風呂に入り慌しく髪を乾かしていた

よりにもよって…仕事関係のやつを倒してしまうやなんて…あとで確認せな…

ん…?ファイル…?

私はハッとしてドライヤーを止め、勢いよく階段を登る

ドタドタドタ…

やばいやばいやばい…

ガチャ!

部屋には座って泣いている美優紀…

そして、その手には…私が勉強していた白血病に関するファイルだったのだ

「…っ…彩ちゃん…」

美優紀が鼻を啜りながら私を見つめる

「あーあ…見られてもたか」

私は観念して美優紀の横に座る

「これ…ずっと勉強してくれてたん?」

「するやろ?心配やったし…」

「移植後のことも…こんなに…」

美優紀はペラペラとファイルをめくる

「ええて…恥ずかしいねんから…」

私は耐えられなくなりファイルを取り上げる

美優紀がうるうると私を見つめ

ぎゅっと抱きついてきた

「ありがとう…いっぱい調べてくれて」

「当たり前やろ…もう美優紀が熱とか出て病院運ばれるん嫌やったし…私にもできることあればって思うやん…」

「うん…ん?彩ちゃん」

美優紀がハッとして体を引き私をみる

「なんや?」

「だから…ずっと告白の返事言わんかったん?」

「え?」

「キスとかせんように…」

ぎくっとして私は苦笑いになる

さすが、美優紀…鋭い…

「そっか…彩ちゃんらしいなぁ」

美優紀はクスッと笑い、またぎゅっと抱きついてきた

「…てか、告白受け入れる前提ってバレとったんかい」

「そりゃ、毎日お見舞い来てくれてるのに違うんかなぁって思わんやん」

「ま…そりゃそうか…」

私は苦笑いをしながら美優紀の背中に手を回す

「でも…ちょっとは不安やったよ」

美優紀がぽつりと呟く

「ん?」

「だって…やっぱりちゃんと好きって言って欲しいやん」

「美優紀…」

私はそっと美優紀の体を離し、見つめる

泣いて潤んだ瞳が愛おしさを倍増させた

『彩ちゃんは毎回そうやって素直にならんと違うことして変なことになるんやから』

さっきの美優紀の言葉が蘇る

そうやなぁ…

ずっと素直になれなくて

両思いってわかってからも美優紀が白血病で下手なことできないからって我慢してたけど…

同時に美優紀にもいっぱい我慢させてたんやな…

「素直になるわ」

私は美優紀の頬にそっと触れる

「え?」

きょとんとした美優紀にふっと笑いかけ

キスをした

「…」

「…」

ゆっくりと離れ見つめ合う

「好きやで…」

「うん…」

キスの余韻で心臓の音がうるさい…

てか…何恥ずいこと言ってキスしとんねん自分…

なんかめっちゃ恥ずかしくなってきた…

「彩…ちゃん」

美優紀が私の服をキュッと握る

…こ…これは…

私はググッと唇に力を入れる

「素直になって…くれるんやろ?」

美優紀の言葉が私の理性を崩す

力強く抱きしめ、再度唇を重ねる

柔らかな美優紀の唇を感じながら

体がじんじんと痺れていく

もう…我慢しなくてええんや…

素直に…

欲望のままに舌を滑り込ませた

「んっ…」

ピクンと美優紀の体が小さく跳ねる

そんな仕草も愛おしくてたまらなかった

「…」

ゆっくりと唇を離し美優紀を見つめ

「…ええか?」

その問いに美優紀は小さく頷いた



※これは本編の『今、話したい誰かがいる』のその後のお話です。



「はーようけ食べたー」

美優紀はキッチンの椅子に座りお腹を撫でる

「島田のお好み焼きはやっぱりうまかったなー」

私もそう言って美優紀と対面の椅子に座る

「今日は疲れたし、風呂いってはよ寝るか」

私は時計を見る

時刻は21時を回っていた

「そやなぁ…でももう少しお風呂はまって」

「あぁそやな」

私は苦笑いをする

白血病の完治祝い、引っ越し祝い、晴れてカップルになったというさまざまなことが合わさってテンションが上がってお互い食べ過ぎてしまったのだ

私は浮かれてビールを結構飲んだのでほろ酔いである

「お好み焼きはおいしいけど、服に匂いがつくのが悲しいなぁ…」

美優紀は自分の腕をクンクンと匂う

「あー確かになぁ…」

私も美優紀につられて腕の匂いを嗅ぐ

「あ、彩ちゃん。ソースついてんで」

「え?マジか?」

「ほら、その腕のとこ」

「え?」

指さされたところを見ようとするが角度的なもので見えず、手の向きを変えながら首を傾ける

「もーここやって」

美優紀はクスッと笑い、私の前に来ると腕をもって汚れたところを見せる

「あーホンマや全然気づかんかったわ」

「彩ちゃんも結構飲んでたしね」

「…」

「…」

不意に距離が縮まり、なんだかぎこちない雰囲気になる

「あー…とりあえずお湯いれとくわ」

私はたまらず席を立ち風呂場へと向かった


ドドドドド……

勢いよく流れるお湯を見ながら私は悶々としていた

キスか?

あそこはやっぱりキスやったんか?

今まで触れることを我慢していたのをいきなり解禁ってなっても戸惑うよなぁ…

私はため息をつく

美優紀に告白されてから今まで返事もせずのらりくらりとかわしてたのは理由があった

美優紀が骨髄移植をしたからだ

移植後は感染症にかかりやすく重症化しやすい

だから、もしその間に好きだと言ってしまったら

キスとかもろもろしたくなるわけで…

そうなったら、私が原因で熱とか出て命に関わることがあったら…とか色々考えてたら

怖くて言えなかったのだ

だから、完治したらちゃんと言おうと決めていた

そして、晴れて恋人となった今、意識して変な感じになってしまっているのだ

はぁ…私は鎖外されても気づかず、ずっとそこに座っとる犬みたいやな

そんなことを思いながら

風呂場を後にした

「10分くらいしたら入るから、先入りや」

リビングに戻り美優紀に声をかける

「ええの?私お風呂長いで」

「あー…その間荷物の整理とかしよるわ」

「それとも一緒にはいる?」

美優紀はニッと笑う

「はぁ?入らんわ。美優紀と入ったらのぼせてまうわ」

からかわれてるように感じて私はムッとして言い返す

「そうなったら先に出たらええやん」

「まぁ…そやけど…」

正論に口を尖らせる

「一緒にちゃぷちゃぷしよ?」

美優紀はニコニコと笑う

「せーへん。私は部屋行くから。溜まったら入りや」

私は気恥ずかしさに耐えれなくて逃げるように部屋を出た

ーーー

バタン…

「はぁ…」

自分の部屋のドアを閉め

ため息をつく

からかいやがって…ホンマわかってんのか…?

私は自分の手を見つめる

どれだけ…触れたかったか

ん?まてよ?美優紀もそのつもりで…?

いやいや、これで勘違いやったら恥ずかしすぎるし…

てか、さっきから私悶々としすぎやないか?

酒のせいか?

はぁ…情けなぁ…

私はまた、ため息をついて荷物の整理をして頭を冷やすことにした

ーーー
一方その頃…

ザァァァァ…

美優紀はお風呂に入っていた

キュッ…

シャワーを止め

髪をかきあげて顔を拭う

正面の鏡に自分の姿を見る

そして、胸を両手で持ち上げて寄せてみる

「…はぁ」

微妙な谷間にため息をついた

病気で痩せてしまい、胸もすっかり痩せてしまっていたのだ

体調がもどり、体に肉はついたものの胸だけはそのままだった

胸から痩せるっていうんはホンマやのになんで太っても胸から肉つかんのやろ…

美優紀はそんなことを思いながら体を洗い始める

念入りに洗いながらムダ毛チェックも行う

…もしかしたら…なんて期待してるんは私だけなんかなぁ

モヤモヤした気持ちをシャワーで泡と共に流した

お久しぶりです。しゅうです。
気づけば3月に後半でもう年度末の時期になってしまいました💦

仕事もバタバタしながらもなんとかやっておりまして、ちょこちょこ書いていたのでアップします😃

急ですが明日0時から『今、話したい誰かがいる』のおまけをアップしますー

性的描写があるので朝に投稿するのもどうなんだろうとおもってまして…
以前は0時更新だったし、ちょっと戻します💦

お暇があれば読んでみてくださいね😃

このページのトップヘ